#看護師の五輪派遣は困りますとツイートしたのは誰だったのか?

概要

#看護師の五輪派遣は困りますというデモツイートがトレンド入りし、メディアにも取り上げられた。 しかし、そのツイートをした人のプロフィールを分析すると、 #検察庁法改正案に抗議します #スガ政権の退陣を求めます #日本学術会議会員任命拒否の撤回 と同じプロフィールの特徴を持った人がツイートしており、今まで与党を支持していた人が不支持に回ったというよりは、いつもの人が反対しているという構図になってしまっている。

看護師の五輪派遣反対のデモツイートが行われ、メディアに取り上げられた

五輪への医療従事者(看護師)参加をめぐり、twitter上で、 #看護師の五輪派遣は困ります というハッシュタグが盛り上がり、twitterのトレンド入をした。その話題は、メディアにも取り上げられた。 例えば、 デイリー 毎日新聞 ハフィントンポスト などが取り上げている。

看護師の五輪派遣は困りますとツイートした人たちと、過去のツイートデモの類似性

では、#看護師の五輪派遣は困ります とツイートした人たちはどのような人たちだったのか?このツイートは医療関係者がツイートしたのか?を分析する。 過去このように政府に対して抗議する意思を示すツイートデモが複数回行われたそれらのデモ参加者とプロフィールの比較を行い、今回医療関係者が居たのか?また、検察庁法案反対の際にあったようなtwitter全体を巻き込むような多くの人が参加する運動になったかを確認する。分析手法は、過去の記事 と同様に行う。

検察庁問題 スガやめろ 日本学術会議 看護師の五輪派遣は困ります
集計ハッシュタグ #検察庁法改正案に抗議します #スガやめろ OR #スガ政権の退陣を求めます #日本学術会議への人事介入に抗議する OR #日本学術会議会員任命拒否の撤回 看護師の五輪派遣は困ります
集計期間 2020/04/01-2020/07/01 2020/08/01-2020/09/20 2020/10/01-2020/10/24 2021/04/27-2021/04/29
標本数 29,668 2,290 3,547 1,357

先の記事と同じように重複する単語はオレンジで示した。 プロフィールによく使われる単語が、50番目まで似ているように、検察庁法案、スガやめろ、日本学術会議任命拒否撤回と同様の政治的傾向を持った人が同じようにツイートをしている可能性が高そうである。

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ランダムサンプリングされたtwitterユーザーのプロフィールとどのくらい一致するか?

過去の記事同様、ランダムサンプリングされたユーザーのプロフィールで使われる単語とどのくらい重複するか調査した。オレンジが重複している部分。大体半分程度異なっており、#護師の五輪派遣は困ります とツイートした人が、twitterの世論(もしあればだが)ともずれており、支持が広範囲に広がっているともいえないようだ。

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ツイートデモは特定の人が騒いでるという印象を与えないほうが良いのではないか?

本来デモの目的は2つある。

  1. 政情が不安定になることを恐れる為政者を威嚇すること
  2. 為政者に対して選挙民を怒らせると落選させるぞとわからせること

つまり、政情が不安定にもならず、不支持者が不支持のままであるなら与党は怖くない。与党にとって怖いのは、今まで自分たちを支持していた人たちに不支持が広がることだ(次の選挙で落選してしまうため)。 ツイートデモは、街角で行われるデモと違い、それが政情不安を呼ぶものではない(為政者は警察等を投入することはない)。そのため、ツイートデモは、国民の言うことを聞かないと落選させるぞと威嚇する行為になるはずだ。しかし、毎回同じ不支持者しか参加しないと与党に感づかれてしまえば、そのデモは効力を失ってしまう。なるだけ、今までデモに参加してこなかった人が参加しているという印象を持たせたほうが為政者としては恐怖を感じる。そのため、今まで医療情報しか発言してこなかったり、特に政府批判めいたことを言わなかった人たちに対して開かれたデモを行っていくことが大事なのだろう。

孤独・孤立対策からも排除されるもの

概要

政府が孤独孤立対策を始めた。それ自体は歓迎できることである。しかし、各省庁から提出された資料を見ると、実際に孤独・孤立し問題を抱えている人に目を向けているか疑問に思う点もある。関心を向けられないが故に、孤独孤立の状態は起こるが、関心が向けられないが故に孤独孤立対策からも排除される存在があるのではないかという問題を提起する。

政府は孤独孤立対策を始めた

政府が、孤独や孤立する人の問題を解決するため、孤独孤立に対する連絡調整会議を開いた。その内容はホームページに公開されている。下記がそのリンクだ。

孤独・孤立対策に関する連絡調整会議|内閣官房ホームページ

まだ、対策をはじめてまもないため、大した資料は載っていない。しかし、連絡調整会議に載せられた各省庁の提出資料は面白かった。

孤独・孤立対策に関する連絡調整会議 配布資料|内閣官房ホームページ

各省庁提出資料はこちら。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodoku_koritsu/dai1/siryou5.pdf

手を差し伸べる属性の偏り

資料を見てみると、政府が 誰が 孤独・孤立していると考えているかよく分かる。

資料の最初は内閣府だが、まず最初に出てくるのは 子供の未来応援機器による居場所づくり だ。子供は最も孤立した人たちだろうか?次はDVだ。そして次は自殺者の資料。この自殺者数の資料はなかなかすごくて、資料では明確に男性の方が自殺しているのに、女性の自殺が 増加 していることを問題として取り上げている。

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次のページでも、なぜか女性の自殺者の内訳を話し始める。

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次のページでも、女性の支援の話を始める。

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と、この資料は読むと、政府が考える孤独孤立する人の属性は、女性,子供,高齢者であることがわかる。

当然そこに、問題があることも承知している。しかし孤立・孤独について考えるなら、本当に考えるべきは、私達は、誰の孤独孤立に 関心がないかをより深く考えるべきだ。

例えば、40代非正規雇用の都市部に住む男性はこの省庁の資料のどこにも当てはまらない。 つまり、彼は、政府の 孤独・孤立対策 からも排除される。

興味も関心も持たれない人

私はこの絵がとても好きだ。

矢を受けた少女には人がよって心配そうに見ている。しかし、一方、更に矢を受けた男性は誰にも関心を持たれずただ立っている。 無論、少女たちも傷ついている。対策が不必要だとも思わない。しかし、私達はもしかしたら無視されている人がいるのではないか?という問を常に立てねばならない。

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孤独や孤立 は、この誰にも関心を寄せられない人たちのことを言うのではないか?

それが、孤独・孤立対策の困難でもある。誰も関心を向けないが故に、孤独孤立対策からも排除される。政府もマスコミ受けを考えると、孤独・孤立対策であるにも関わらず、多くの人が関心を持つ属性にリソースを追加したほうが予算効率が良いと考えるだろう。

不可視なものを見つけるという難題

関心や共感を寄せられないので孤独・孤立化しているのに、まさに関心や共感を寄せられないが故に孤独・孤立対策からも無視される。その徹底して不可視な感じがとてもすごい。

真の孤独・孤立対策とは、誰も関心を寄せない人を見つける事業のことだろう。

真の孤独・孤立対策とは、誰も関心興味を持たない人を、常に探し、支援を申し出る事業だ。

追記,孤独・孤立対策に取り組むNPO等への支援

内閣官房提出の政策メニュー

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/corona_hiseiki/dai1/siryou3.pdf

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やはり中年男性が利用できそうなメニューはないのであった。

マイケル・ムーアのスピーチ

概要

マイケル・ムーアがどうして人々がトランプに熱心に支持するかを述べたスピーチが良かったので字幕を書き起こした(よく忘れて検索して探すので)。

動画


ムーア、トランプの勝利を予想

字幕書き起こし

デトロイトで財界の会合に出席したトランプがフォードの役員たちを前に 「もしメキシコへの工場の移転を進めたら逆輸入される車には35%の関税をかけてやる。

そうすれば誰もフォードの車など買わないぞ」と脅しをかけた。

驚くべき発言だった。

これまでそんなことを言える政治家は民主党にも共和党にも一人もいなかった。

その言葉はミシガンやオハイオペンシルバニアの人々の耳には心地よい歌声のようだった。

オハイオの住民ならその意味がわかるはずだ。

トランプは人々の苦しみに訴えかけている。

そして中間層から追い落とされた人々の多くがトランプを支持している。

彼らはトランプのような震源爆弾が現れるのを待ち望んでいた。

自分たちを隅に追いやった社会に対して爆弾を投げつける時が来るのを待っていた。

11月8日の選挙の日、失業し、家を追い出され、家族にも見捨てられ、車を持っていかれ、

何年も休むことを許されず、最低の医療しか受けられず、すべてを失った人々の手にたった一つ残ったものは、1セントもかからないが憲法で保障された投票する権利だ。

彼らは一文無しで家もなく繰り返し踏みつけれてきた。

しかし、11月8日の投票日にはそのすべてに対する仕返しができる。

億万長者も失業者も同じ一票しか持っていない。

そして中間層から脱落者の数は億万長者よりも遥かに多い。

11月8日、すべてを失った人々が投票所に現れ、投票用紙を受け取り、投票箱の前で、

彼らの人生を破滅に追い込んだシステムの全てをひっくり返すことを約束している

候補者の名前にチェックを入れる。

それがドナルド・J・トランプだ。

トランプの勝利は史上最大の"FUCK YOU"になるだろう。

良いスピーチだ。

上野千鶴子氏の行為は古市憲寿氏に対するセクハラではなかろうか?

概要

古市憲寿 氏の著書、「希望難民ご一行様」で、上野千鶴子氏が古市憲寿氏に対して行った行為がセクハラではなかろうか思う。

希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 (光文社新書) | 古市 憲寿, 本田 由紀 |本 | 通販 | Amazon

起こった事

「希望難民ご一行様」は、古市氏が、ピースボートの世界一周の旅に自ら参加し、その顛末を描いた書籍だ。 その旅の後上野千鶴子氏は執拗に次のことを聞いたそうだ。

若者のほとんどが相部屋というと、決まって聞かれるのは「そういうこと(著者注、セックスであると思われる)」はどこでしているのかという話だ。特に上野千鶴子執拗に聞いてきた。(著者強調)

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ハラスメントは、女性強者であっても起こる。

ハラスメントはよく男性から女性に対して行われると考えがちだが、それはたまたま男性が権力者の場合が多いだけで、女性が権力者の場合も起こる。 言うまでもなく性行為は、極めてプライベートな事象だ。それに関することを執拗に聞いてくるのはハラスメントである。 男女を逆にして、ピースボートに参加した女子学生に対して、男性教員が、セックスはどこでしているか執拗に聞いたらどうだろう?疑いの余地なくセクハラ・アカハラだと思うのではないだろうか?

ハラスメントは、ある性別は起こし、ある性別は起こさないという性質のものではない。すべての人がセクハラを起こすと考えながら、生活すべきだろう。

経済学者はtwitterでどの様に語られるか?

経済学者、脳科学者などはtwitter上でどの様に語られるか?

前回、社会学者はtwitterでどう語られるか? - データをいろいろ見てみる という記事を書いた。思いの外多くの方に読まれたようだ。ありがたい。 記事の反応の中に、経済学者や脳科学者はどの様に語られているのかという疑問があった。確かにそれは私も興味があるので追加して調べてみた。

調査データ

データ種別 説明
データ期間 2018-01-09から2021-01-28
データ件数 約7億2千4百万件

調査方法

前回の記事と同じくサンプリングされたtweetデータから様々な学者を含むツイートを抜き出し、その言葉とともに使われる言葉(抽出語)から、それらの学者がどの様に語られるか?どの様に眼差されるかを調査した。

抽出したツイートをmecabを使って形態素解析し、特徴語を抜き出した。特徴語の抜き出しは、KHCoder を利用した。また、twitterは新語が大量に生まれるので、それに追従するため、mecabの標準の辞書は使わず neologd を使用した。

botの影響を避けるため、同一文言のツイートは一つにまとめた。ただ診断メーカー・名言ボットなどは前段の文章は同じで後段の文章のみ異なる文体のため、それらは上手く取り除けていない。

調査対象学者

次の学者を調査した。

調査ワード 対象ツイート数
経済学者 6278
心理学者 3698
政治学 3145
脳科学 1298
教育学者 341

いくつか調べてほしいと言われた学術ジャンルをピックアップし調査した。

経済学者はどの様に語られるか?

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経済学者

経済学者よりも、MMTや主流派経済学などの学説への言及が多いように感じた。日本の経済学者では竹中平蔵氏への言及が多かった。 twitter上ではマルクスへの言及は少ないようでマルクスへの言及数の順位は215位、マルクス経済学は298位であった。 twitterでの議論の激しさから、経済学者=売国奴くらいのことは言われているのかと思ったが用例としては少数(5例)で使用順では2000位内にも入っていない。

心理学者はどの様に語られるか?

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心理学者

心理学は、心理学者への言及よりも心理学ジャンルへの言及が多いようだ。社会心理学犯罪心理学、臨床心理学、実験心理学等、ジャンルに対する言及が多いようだ。 心理学者では、フロイトアドラー、ウィリアム・ジェームズなどの名前が挙がった。 下の表で津軽弁が上がっているのは、この書籍『自閉症は津軽弁を話さない』著者が10年の研究を経て、今、思うこと/松本敏治さん「文庫版あとがき」 | カドブン の影響のようだ。

政治学者はどの様に語られるか?

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政治学

政治学者は社会学者と同様に学者名が多く言及されていた。三浦瑠麗氏,白井聡氏,中島岳志氏,山口二郎氏,藤井厳喜氏 などがよく言及されている。 松任谷由実も入っているが、白井聡氏の舌禍によるものであろう1。早い死ぬも同様。

脳科学者はどの様に語られているか?

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脳科学

中野信子氏,茂木健一郎氏が言及される。その他、PSYCHO-PASS,MYLOHASなどが言及されるが、何故かは分からなかった。メタルが何故言及されているのだろうか?学説などへの言及よりも対談への言及が多いようだった。下の特徴的なワード出てきているが、中野信子氏はCocomiと、茂木健一郎氏は山本太郎氏と対談している。

教育学者はどの様に語られているか?

教育学者は、サンプルとして341例で余り言及されていないようだ。

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教育学者

ナイチンゲールレオ・ブスカーリアは名言ボットの影響で、多く言及されている。日本人の学者では齋藤孝氏が言及されている。この図表には入っていないが、汐見稔幸氏と内田良氏が言及されている。

各学者で、特徴的なワードを抽出してみる。

複数の学者で共通に使われるワードがある。例えば教授や先生、研究世界などは、どの学者への記述でも使われる。それら複数の学者で使われるワードを除外すれば、ある学者を表すのに特徴的なワードが残る2。例えば 繊細 という記述は数学者としか用いられない。MMT という言葉も経済学者と共に使われるが、他の学者とは使われない。炎上社会学者とともに使われるが、他の学者とは使われない。 それらのワードを抜き出した。

哲学者 心理学者 政治学 教育学者 数学者 社会学 経済学者 脳科学
哲学 心理学 政治学 教育学 数学 社会学 経済学 脳科学
フランス 社会心理学 国際政治学 学校 天才 古市 増税
ソクラテス 心理 三浦瑠麗 教師 タイプ 宮台 消費税 中野信子
思想家 犯罪心理学 白井聡 齋藤孝 聖母 フェミ 国民 茂木健一郎
詩人 提唱 安倍政権 看護教育 抜群 炎上 政策 茂木
幸福 実験 韓国 愛す 相性 真司 MMT 脳科学
タイプ 三浦 愛する 証明 宮台真司 財務省 許せる
古代ギリシア 方法 国民 深い 学問 コロナ 方法
作家 話す 国際政治 教員 物理学者 フェミニスト 主流派経済学 増幅
愛す 相手 トランプ 日本の教育 パニック キズナアイ 提言 PSYCHO-PASS
ニーチェ 性格 メディア 文科省 悪人 GENDER 竹中平蔵 MYLOHAS
思想 進化心理学 政権 レオ・ブスカーリア 慈悲 オタク 日本の経済 対談
紀元前 BY 中島岳志 一人 見いだす 査読 対策 中毒
BY 野党 ナイチンゲール 差し伸べる Twitter 消費増税 聴く
効果 名乗る 看護師 繊細 差別 中国 天才
失う 幸せ コロナ 内面 上野千鶴子 国債 音楽
幸せ 精神科医 死ぬ 子育て 控えめ ジャーナリスト 財政 メタル
一人 強い 中国 指導 情熱的 弁護士 緊縮 状態
PLATON 能力 藤井厳喜 私たち 古市憲寿 日銀 認知症
すべて 民主主義 実践 フランス 表現 経済政策 勧める
ニーチェ 不安 リベラル 働く 映画 まとも お金 正体
最も 博士 瑠璃 計算 英伝 現実 ???
古代ギリシャ 自閉症 政策 フローレンス・ナイチンゲール 発見 調査 消費 記憶
交換 人格 藤井 前ぶれ 数字 受ける Abenomics 情報
合う 臨床心理学 tweet 大切 解く Togetter ノーベル賞 正義
ARISTOTELIS 傾向 北朝鮮 著書 定理 叩く マスコミ 早期教育
思考 挑む 厳喜 突然 美しい 作家 デフレ 動画
死ぬ 欲求 早い 会見 残す 名乗る 影響
古典 習慣 危機 現場 解ける Tweet 正しい
カント 山口二郎 社会起業家 受賞 現実 官僚 tweet
残す やる気 政治学 成功 数式 憲寿 反対 テーマ
恋愛 ストレス 選挙 苦手 責任 増える 応援
NAVI 痛感 議員 贈り物 素数 メディア 企業 発売
津軽弁 インタビュー 千田有紀 説明 やる気
現在 成功 ニュース 育てる 誕生日 馬鹿 医療 子育て
一番 Adler 講師 一つ 描く HTTPS 減税 自信
笑う 最も 安倍 価値 インタビュー 日本経済 走る
逃げる 出演 危険 得意 フェミニズム 貨幣 普通
与える 楽しい 支持 岡潔 一部 資本主義 勉強
環境 松任谷由実 失敗 業績 沖縄 景気 科学者
情報 自民党 信頼 作品 失敗 思考
文献学 戦争 親子 論理的 バカ まとも 脳内
評価 静か 解決 感じ モデル 話す
芸人 他者 ジャーナリスト 戦前 概念 若者 エコノミスト お話
取る 大阪 統計学 出会う 出し手 税金 ゲーム
現代 安倍首相 道徳 難問 東大 インフレ 快感
一つ オンライン 岩田温 −1 予想 話題 支持 最新
結婚 共感 国家 いたずら フェルマーの最終定理 予測 大きい
全て 苦しい 対談 コミュニケーション 暗号 経営学 安倍政権 努力
相性 保守 タックル フィールズ賞 個人 韓国 疲れる
ウィリアム・ジェームズ HTTPS 引き起こす 博士 相手 入る Cocomi
偉大 重要 国体 英語教育 発表 正しい 発行 NHK
強い PSYCHO-PASS 今回 完全 ReTweet 危機 ネット
難しい フロイト 削除 環境 向う ダメ 専門 機能
抜群 与える 国会 賛同 死去 岸政彦 竹中 効果
CZ 異常 戦後 子供達 説明 知識 実際 差別
終夜 自己 代表 汐見稔幸 恋愛 評価 受験生
求める 受ける 思想 授業 作品 ネット 間違う 特徴
真理 特徴 専門 数学教育 算数 界隈 借金 忘れる
自ら 定義 物議 平気 イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 高橋洋一 茂木氏
出身 プレジデント 共産党 n クール 責任 w
精神分析 憲法学者 WEBサイト 解読 専門家会議
PLATON 調査 東大 ドイツの教育 学問 終わる 公開
話題 ピーター 観る 場合 山本太郎
泣く イアン・ブレマー 英国 接客業 制度
GT 権力 改革 客観 特に 明日
A 首相 学力 求める Twitter
興味 東京 恐れ 寄り添う バカ
考え ファシズム 近代 −1 恩蔵
薔薇 空しい 天文学者 興味深い
楽しむ 今回 質問
最高 理系 実験
資格 絶対
自己
失う
出会い
小学校
数学
中心
哲学
働き方改革
内田

ある学者には使われるが、別に学者には使われないワードを抽出することで、ある学者はどの様に語られるか見えてくるかもしれない。

この調査は、twitter上でどの様に語られるかを調査しており、例えば国民はこう考えているという総意でもないし、twitterユーザーの総意でも無い。twitter上で各分野の学者がどの様に眼差されるかの一例になるのではないか?

社会学の調査に、職業威信スコア という正確な調査があるが、心理学者や社会学者のように学者を分野ごとに個別に調査したものではなくに大学教授としてまとめられた調査になっている。

学者ごとのSNS上でどの様に眼差されるか知りたかったが、サイニーで調べた限りだと、考古学者の漫画における描かれ方はあったが、希望のものはなかった。

社会学者はtwitterでどう語られるか?

twitter上でdisられる社会学

しばしば 社会学者はSNSで悪し様に罵られる。

なぜ社会学はここまで嫌われるのか|小山晃弘|note

例えばこのブログが書いているように、胡散臭い学問ではない と言われる。

ここで疑問に思ったのは、上で紹介したブログに様に社会学者だけに悪評が立っているのか?他の学問分野ではどうなのだろうか?

twitter社会学者はどの様に語られているか?

twitterは、開発者向けに全ツイートの1%のサンプリングデータを公開している。私は2018年からそのtweetサンプルを収集している。現在、約7億件のtweetを収集している。

そのデータを利用して、社会学者はtwitter上でどの様に語られているかを調査する。

調査データ

データ種別 説明
データ期間 2018-01-09から2021-01-28
データ件数 約7億2千4百万件

調査方法

サンプリングされたtweetデータから社会学者・数学者・哲学者を含むツイートを抜き出し、その言葉とともに使われる言葉(抽出語)から、社会学者・数学者・哲学者がどの様に語られるか?どの様に眼差されるかを調査した。

抽出したツイートをmecabを使って形態素解析し、特徴語を抜き出した。特徴語の抜き出しは、KHCoder を利用した。また、twitterは新語が大量に生まれるので、それに追従するため、mecabの標準の辞書は使わず neologd を使用した。

社会学者を含むツイート

社会学者」を含むツイートを調査した。 集計件数は 4775 件。

抽出語 出現回数
社会学 4716
言う 682
思う 600
506
社会学 482
社会 448
日本 309
自分 287
見る 262
問題 253
先生 240
学者 233
論文 230
批判 229
女性 217
教授 200
知る 198
書く 194
古市 187
研究 176
考える 171
宮台 170
166
聞く 156
出る 154
153
読む 145
フェミ 144
炎上 138

また、KHCoderの多次元尺度構成法を用いて、使われている抽出語のクラスタリングを行った。 多次元尺度構成法を用いることで、似た抽出語は近い位置に配置される。 また、似た属性は同じクラスターへと配置される。

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社会学の抽出語で特徴的なのは後で見る数学者や哲学者と比べて、現存の日本の社会学者が多く言及される。例えば、上野千鶴子宮台真司千田有紀古市憲寿などが盛んに言及される。また、炎上・自称・頭悪い・馬鹿などの不穏な言葉とともに用いられる。 まともなという言葉が示すようにデフォルトがまともでないと思われている。フェミニストフェミニズムとの距離が近く、オタク、キズナアイなどの言葉とも共に使われる。

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クラスタリングしたものをざっくり見ていると、炎上が起こるのは、フェミニズム関連、メディアで、千田、上野、古市がうかつな発言をする、宮台当たりではないかと思われる(宮台はそこまで炎上しないが)。 地味に銀英伝1が入っていて興味を惹かれた。

数学者を含むツイート

「数学者」を含むツイートを調査した。 集計件数は 4961 件。

抽出語 出現回数
数学者 4641
数学 1271
654
天才 487
タイプ 480
言う 421
思う 382
聖母 237
問題 237
抜群 235
相性 234
世界 231
知る 227
証明 225
見える 219
見る 218
215
先生 207
深い 205
196
物理学者 190
使う 182
パニック 181
悪人 181
慈悲 180
見いだす 179
差し伸べる 179
繊細 179
内面 179

社会学者と同じくKHCoderの多次元尺度構成法を用いて、使われている抽出語のクラスタリングを行った。 多次元尺度構成法を用いることで、似た抽出語は近い位置に配置される。 また、似た属性は同じクラスターへと配置される。

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右端の慈悲や聖母やパニックは、どうも「診断メーカー」が 数学者 を含むワードを頻出した為出てきた。

数学者に特徴的なのは「天才」という言葉と共に使われる点だ。 また、「美しい」「面白い」「好き」などのポジティブな評価語と共に使われる。

人名では、岡潔が出てきた。

哲学者を含むツイート

「哲学者」を含むツイートを調査した。集計件数は、11975件。

抽出語 出現回数
哲学者 10766
1657
哲学 1433
自分 1147
言う 1100
思う 906
人間 862
言葉 794
考える 750
ドイツ 591
知る 519
人生 512
持つ 501
名言 497
世界 492
フランス 475
読む 446
生きる 414
ソクラテス 409
見る 401
今日 386
思想家 348
詩人 332
存在 322
幸福 311
311
309
タイプ 300
意味 292

社会学者・数学者と同じく、多次元尺度構成法を用いて可視化した。

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社会学者と異なり、ソクラテスプラトンアリストテレス、カント、ニーチェと歴史上の哲学者への言及が多い。 「死」や「思考」「神」など哲学の主題への言及が多い。

社会学者と比較して

twitter上で「数学者」や「哲学者」と「社会学者」の比較を行った。

数学者や哲学者では、「まとも」や「自称」、「馬鹿」「炎上」と言った言葉はそんなに使われず、「社会学者」を含む言葉にある種のヘイトや嫌悪感があるのではないかという気がする。社会学者は現在の日本人の社会学者が多く言及され、多分、メディアの露出度と高い相関があると思われる。このメディア露出が社会学者のイメージに悪影響を与えているのではないかと考えられる。

研究が批判されているのではなく、ガバナンスが批判されているのではないか?

社会学者の鈴木謙介氏が、続・社会学は何をしているのか « SOUL for SALE というタイトルのブログを書いた。その中で社会学の優れた研究を紹介している。しかし、紹介された社会学者や著作が、twitter上でそんなに多く言及されていないのが現状だ。上記のサンプリングデータを使って社会学者の言及回数を調査した。

人名 言及回数
上野千鶴子 3182
古市憲寿 3039
宮台真司 2994
千田有紀 660
鈴木謙介 99
打越正行 78
筒井淳也 53
数土直紀 0

鈴木氏が紹介してくれた筒井淳也氏、数土直紀氏、打越正行氏の研究はそれぞれ面白そうであったが、twitter上で目立っているかといえばそうではない。 問題は研究の良し悪しではないのではないか?上野、宮台、古市、千田にしても彼らの研究そのものよりも矛盾した主張をしたり、他者をあからさまに侮蔑する表現がtwitterでは取り上げられる。

鈴木氏は、社会学でもまともな研究が行われていると主張するが問題はそこではなく、複数の社会学者が悪目立ちしている点にあるのではないか?

例えばある教団があって、なまぐさ坊主の振る舞いが目に余るとしよう。教団は内部で優れた教義の探求が行われていると主張するが、庶民の目に入るのはなまぐさ坊主の所業の方だ。教団がすべきことは内部で優れた研究が行われていると主張することではなく、なまぐさ坊主を破門することだ。 問題は、研究 の有無ではなく、 ガバナンス の方ではないか?

社会学は、社会学者の卵たちをエンパワーメントしているか?

数学者への言及を調査していて、「美しい」「面白い」「好き」などの言葉と共に使われているのに驚いた。何故ならば、日頃見る社会学者への言及で、「馬鹿」、「自称」、などのネガティブな言葉に満ちており、「面白い」「好き」などの言葉は余り使われない(少なくとも頻出語ではない)。 SNS上で、社会学者が叩かれようが、彼らのポストや予算に影響はないであろう。しかし、新たに社会学を学ぼうという若い学生に良い影響を与えるかはわからない。少なくとも数学者へのエンパワーメントのような事態にはなっていない。

社会学社会学を眼差すべきではないか?

先に紹介した、鈴木のブログでも、社会学者が他分野の学者からどの様に眼差されるかといった事例が紹介されている。社会学への冷笑と羨望――隣接分野からのまなざし https://jss-sociology.org/other/20201026post-11036/#s2。 それでは、他分野ではなくSNStwitterでは社会学者はどのように語られているのだろうか?サイニー で検索しても、社会学者がSNStwitterでどの様に語られているかの調査は無いように思われる。 社会学者は他者を観察するのに、自分たちがその他者からどの様に眼差されているかに鈍感だ。自分たちが否定的に話されているのか肯定的に話されているのか?自分たちがどの様に語られてるか計量的に調査しても良い時期に来ている。

SNSを世論視する政治家

政権の異常な強気姿勢 学術会議と民意

学術会議任命の拒否

政府による学術会議の任命拒否が問題になっている。参照wikipediaこちらだ。 2020-10-01に問題が発覚し、この記事を書いている11月上旬でも問題は続いている。任命を拒否したことについて、学問の自由からの論点、また法解釈の論点から問題点を指摘されている。その問題点に関して様々な論者が論じているのでそちらを参考にしてほしい。私も学術会議の件は政権に問題があると感じている。しかし一方私が興味をもったのは政権の異様な強気だ。

菅政権の異様な強気

現在でも、任命拒否の問題について、連日マスメディアで盛んに報道されている。30年も前であったなら、政府は即座に撤回し任命から漏れた6名を追加で任命していただろう。しかし政府は任命拒否の姿勢を貫いている。この強気はどこから来るのか、私が考えた仮説は、メディア環境の変化(SNS,Youtube等の隆盛)と世論モニタリングの複線化の2つの要因が大きいというものだ。

メディア環境の変化と世論モニタリングの変化

政治家が恐れるもの

学術会議で任命拒否に反対する学者たちは、学問の自由の侵害だと言った。それはとても正しい主張だ。しかしその主張は政治家(特に与党政治家)には届かない。なぜなら彼らが恐れるのは「落選」であり、学問の自由の侵害ではないから。つまり「学問の自由を侵害する政治家は問題だと有権者が感じ、政治家を落選させること」以外は怖くないのだ。

政治家が学者を恐れていたい時代

政治家が学者を恐れていた時代があった。

志垣民郎の内閣調査室秘録という書籍がある*1。日本の諜報機関と目される内閣調査室が何をしていたか、内閣調査室に属していた志垣が記述している。内閣調査室の使命は、日本の共産化を防ぐことだった。そのため有望な学者を懐柔して共産主義者にならないように工作をした。つまり学者が世論をリードして有権者共産主義政権を選ぶことを恐れた。もし政府が学者に有権者に対して影響力がないと考えていたならこのような懐柔工作はやらなかったはずだ。*2

メディア環境の変化

インターネットの普及そして、SNSの隆盛によって有権者を取り巻くメディア環境は変わった。昭和の政治家は、新聞・テレビなどのマスメディアを世論と見なしていた。メディアが取り上げると有権者はそれに影響を受け、政治家の当落に影響を与えると考えた。

図にすれば以下のようになる。政治的言論空間がある。メディアや学者が問題視する。有権者はそれに影響を受け、選挙時に投票を通して政治家の当落を決定する。 政治家は落選が嫌なので、メディアや学者が問題視する政策は撤回してとりあえずは問題視されないようにする。

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昭和の政治言論空間

つまり昭和に政治家が考えた世論形成モデルはシンプルだ。メディアによる取り扱い紙面量や放送時間が有権者に影響を与えそのまま世論を決定するというモデルだった。だからメディアによる取り扱い紙面に最新の注意を払った。世論調査もあったが集計に時間がかかるため民意をリアルタイムで測るのは難しかった。

自民党参議院議員世耕氏のNTTに勤務している時、広報として毎朝「新聞11紙をチェックして」NTTに関する記事を集め論調の分析をしたと書いている*3

つまり、新聞の「取り扱い紙面量と論調」が有権者(この場合は顧客)に影響を与え、投票行動(この場合は購買行動)に影響を与えるとというモデルだ。

政府や政治家は個々の政策に対して世論調査を行えないので各種マスメディアの論調を分析してそれを世論の代わりとしていた。

一方インターネットが普及しSNSが日常で使われるツールと化した令和の現在ではそのようなモデルは無効化した。

人々はマスメディアだけに影響を受けるわけでなはい。SNSYouTube等、有権者に影響を与えるメディアは多様化した。つまり昭和のように新聞11紙の論調をチェックすれば良いと言う時代ではなくなった。

図にすると次のようになる。

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令和の政治言論空間

SNSYoutubeによって人は気軽に他人の政治的意見に触れられ、また同じように気軽に政治的意見の発信出来るようになった。

この「気軽に発信出来るようになった」というのがポイントで、それを世論モニタリングに活用しようと考える人がでてきても不思議ではない。

世論モニタリングの複線化

先程、自民党の世耕議員が、NTT時代に新聞の論調を通じて世論の動向を見ると書いた。昭和時代、市井の人々がどう感じている収集することは簡単ではなかった(今でも「全て」の人がどう感じているか収集することは簡単ではない)。そのためテレビ、新聞などのマスメディアの取り扱い紙面量や放送時間またその論調をみて有権者がどのように考えるかをモニタリングするしかなかった。

しかしインターネットによって、不十分にしろ、有権者がどう考えているかモニタリング出来るようになった。 例えば、西田亮介の「メディアと自民党」によれば自民党本部に自民党本部T2ルームが有り、twiiter全般の分析、候補者アカウントの分析、または2ちゃんねるの分析を行っているという記述がある*4

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そして、ネットの分析を通じて政治家はマスメディアにある論調を有権者は必ずしもそのとおりに受け取らないし、そのまま影響を受け投票行動を行うわけではないと学習し始めた。 別に昔から有権者はマスメディアが言っている論調をそのまま受け止めたり影響を受けたわけではないがそれを低コストで表明する場所がなかったため、政治家はメディアの論調から有権者の考えを推測するしかなかった。

それなら、今までマスメディアの紙面から推測していた民意を、SNSのモニタリングを通して行っても良いのではないかと政治家は考え始めた。

無論SNSが世論をそのまま反映するとは思えない。SNS上の意見表明は世論とは異なるだろう。しかしそれはマスメディアの紙面やテレビの放送時間だって民意の反映ではない。

急いで付け加えるが、政治家はマスメディアを通じての世論調査を全くしなくなったというわけでは当然ない。マスディアの論調と並行して、SNS上でも分析も始めたのではないかと思っている。特に、マスメディアの熱心に取り上げるテーマと、SNSで受けているテーマのズレには注視しているのではないか?

SNSで世論をモニタリングする

政治家だったらどのような分析をするか?

例えば政治家がSNSを使って世論をモニタリングするとしたらどの様にするだろう?私は政党の関係者ではないので、実際にどの様に彼らが世論を分析しているかはわからない。けれども企業でデータ分析しているので、ここらへんはやっているだろうと想像で書く。

多分、分析するとしたら

などが挙げられる。

そのような分析をするだろうとシミュレーションしながら、学術会議騒動がSNS上でどのように騒がれたかを見てみる。

分析ソース

twitter社は開発者向けに全ツイートの一部をAPIとして公開している。その時間に流れるツイートの1%が取得できる。

つまりその件数の推移を調べればその話題がどのくらい盛り上がったかを調査できる。また、例えば学術会議の任命拒否に反対している人のプロフィールを見れば、どのような傾向の人が反対しているかを調査できる。

検察庁法案に比べて盛り上がらないSNS

下記の図が、10/01に学術会議が任命拒否にあった時からの学術会議に関する言及数の推移だ。twitter社のサンプリングデータを使っているため、言及数としては正確ではないが、時系列の推移は追うことが出来る。比較のため2020年5月に火がついた検察庁法案に関する言及数も合わせて乗せる。言及数の時系列の推移を見るため、学術会議は10/01を検察庁は5/9を起点に比較している。

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検察庁vs学術会議

学術会議は、検察庁の時と比較して、だいたいピークで5分の一の言及数で、その後徐々に言及数を減らしたまま来ている。10/26に国会が始まったがそれでも、再度盛り上がることはなくそのままだ。つまり連日のメディアの問題視とは異なり、SNS上では興味が薄れてきている。

不支持が拡大しない

次に学術会議の任命拒否問題でそれに反対している人を見てみる。twitterでは、tweetした人のプロフィールを見ることが出来る。例えば私のプロフィールはこちらだ。先程あげたtwitter社のリアルタイムのツイートサンプリングでは、あるツイートをしたユーザーのプロフィールを調べることが出来る。

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今回、学術会議を問題視した人たちは、#日本学術会議への人事介入に抗議する#日本学術会議会員任命拒否の撤回 というハッシュタグを使って抗議した。それではそのハッシュタグを使って反対を表明した人たちはどのような人たちだろうか?

過去、#スガやめろ#検察庁法改正案に抗議しますというハッシュタグを使った人たちと比較した。

比較方法は、プロフィールを単語で分割してよく使う単語100ワードを抜き出すというもの。

botの影響を避けるため、重複するプロフィールは一つにまとめた。

ハッシュダグと、集計期間、標本数は以下

検察庁問題 スガやめろ 日本学術会議
集計ハッシュタグ #検察庁法改正案に抗議します #スガやめろ OR #スガ政権の退陣を求めます #日本学術会議への人事介入に抗議する OR #日本学術会議会員任命拒否の撤回
集計期間 2020/04/01-2020/07/01 2020/08/01-2020/09/20 2020/10/01-2020/10/24
標本数 29,668 2,290 3,547

プロフィールは、KHCoderというツールを使って、プロフィールによく使われる単語を抜き出した。 それを比較したの資料はこちら。

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複数のハッシュタグに現れるワードをオレンジ色で塗りつぶした。 見てわかるように、多くのワードが一致している。つまり、同じ傾向を持った人が毎回抗議しているのではないか?という仮説が成り立つ。

例えば、検察庁、スガやめろ、学術会議で、政治、応援、反対、ブロック、原発、安倍、山本太郎など特定の政治思想を伺わせるワードが目立つ。

検察庁やスガやめろに関してはこちらの記事でもそのプロフィールを分析した。

shioshio3.hatenablog.com

政権としては、今まで政権を支持していた人が反対に回るのは怖い(落選するから)。しかしもともと反対だった人がそのまま反対なら支持率などに影響はないと考えるだろう(もともと票として数えていない)。 政権に対して「支持->不支持」になるのは問題だが、「不支持->不支持」のままなのでダメージはないと考えるだろう。

検察庁法案やスガやめろとtweetが多くても支持者が不支持者にならなければ、政権へのダメージになりづらい。こちらの記事でも、

その結果(調査の結果),(スガやめろとハッシュタグをつけてツイートした)ハッシュタググループの73.4%のアカウントは「#検察庁法改正案に反対します」に参加したアカウントであるということが分かりました. (カッコ部は著者補足)

とあるように、似た政治的傾向を持つグループがツイートをしていることが伺える。#検察庁 #スガやめろ #学術会議 のハッシュタグの運動は類似した政治的な意見をもったグループが行っており、そこから政権に対する不支持が広がってないのかもしれないと考えられる。

比較のため、twitterのサンプルストリームからランダムに取り出したら49,208人のプロフィールと比較したものがこちら。重複した項目はオレンジにしている。つまりこのランダムサンプリングと一致すればするほどSNS全体から学術会議問題に対して、SNS全体が反対していると言える。

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学術会議 比較のためのランダムサンプリングユーザー
集計期間 2020/10/01-2020/10/24 2020/08/01-2020/10/12
標本数 3,547 49,208

学術会議抗議ユーザーとランダムサンプリングユーザーを比較した場合、重複している項目もあるが、それぞれ片方しかない項目もある。 片方しか無い項目はある意味それぞれの特徴を表すと考えられる。

それぞれ片方しか無い言葉を抜き出すと

学術会議 ランダム
政治 推す
日本 ゲーム
反対 フォロバ
ブロック 描く
社会
映画
原発 気軽
平和 雑多
支持 腐る
新党 iKON

と言った言葉が目立つ。だいぶ傾向が異なる。そのため、SNS全体では学術会議問題に反対してないと考えることが出来る。

SNSで政治的な発言をする人は少数なので、与党支持者が反発したかどうかは調査できていない。今後の課題とする。 また、#日本学術会議への人事介入に抗議する などのハッシュタグを使わず、政権に批判的なツイートをする人たちもいるため、その網羅性も今後の課題だ。

世論調査ならSNSより正確では?

マスメディは世論調査を行う。世論調査は、世論を正確に反映していると考えられるので、SNSを使わずに世論調査を使ってモニタリングすれば良いでは無いかと考えるかもしれない。私も世論調査が正しいと考える。しかし政権はそう考えてない。 日経の記事世論調査で、政府の説明は不十分だと考えている人が70%いる。しかし政権は撤回しない。政権はこう考えているのではないか?確かに70%の人は説明が不十分だと思っているのは分かった。では明日選挙があるとして、彼らは「野党候補」に投票するか?何度も書くように与党政治家は当落しか考えない人たちだ。彼らは自分の当落に影響しないなら別に良いと考えている。そう考えないと政権が任命拒否を撤回せず、今でも政権運営をしている意味が分からない。

政権がメディアと学者の言うことを聞かなくなっている

昔テレ朝幹部の椿氏の発言によって、椿事件 が起こった。テレビは報道によって政権交代を促すことが出来るという趣旨の発言が、議員に問題視された(平成5年だ)。 しかしこれは裏を返せばテレビ報道は議員の当落に影響を与えることが出来たことを示している。

放送法に政治的な偏向報道を禁止する規定がある、そのため政治的に中立な報道しかテレビは出来ない。しかし仮に今、政権に批判的な報道をしたとしてテレビ局はどこまで政治家を落選させることが出来るだろうか?上に見たようにメディアは政治的な言論空間を完全には掌握できておらず、SNSやインターネットに侵略されている。人々はテレビを見なくなり、ネットで過ごすことが多くなっている。

先に挙げたように、政権(自民党)にとって恐ろしいのはマスメディアが正論を言うことではない。議員の当落に対する影響力をもっていることだ。もしその力が弱くなっているならマスメディアの言うことに従う義理はない。今回の学術会議の政権側の強気はこのような背景があると考えている。

変わる政治家、変わらないメディアと学者

この記事では、学術会議の騒動を元に、政治的な言論空間における勢力の変化を論じた。

昭和時代政治をめぐる言論空間は割とシンプルで、学者とマスメディアが言論空間を支配し、政治家もその取扱紙面の量や論調を世論と見なしていた。そのため長期間批判的な論調が続くなら世論が反発していると考えて政策の軌道修正をした。学術会議の問題が30年も前に起こっていれば、即座に撤回され6人の会員は任命されていただろう。

しかし令和時代、メディア環境は変化し、その影響をうけ政治をめぐる言論空間も変化した。ネットやSNSの隆盛に伴い、有権者に影響を与えるメディアの増加、そしてSNSやネットによる民意のモニタリングが可能になった。メディアの変化による政治家の変化に関しては、西田亮介の「情報武装する政治」に詳しい。彼は政治家の発信メディアの変化について主に論じたが、私はむしろ世論のモニタリングに興味をもってこの記事を書いている。

上に挙げたようにSNSでのモニタリングにより、ある政策に対して反応はどのくらいあるか?また属性はどのようなものかを知ることが出来るようになった。何度も繰り返すように、SNSは世論では無い。それでもSNSは政権にとっては、いつ反対が沈静化するか?不支持は広がっているか?をモニタリングし、政策を取り下げるかどうかを決めるためのツールになっているのではないか?

私は自民党員ではないので実際はどうか分からない。しかし一個人の私がtweetを集めて分析できるのだから政治家や政党もやっていると考えた方が良いだろう。西田は「メディアと自民党」の中で、自民党は広報機能を内製化したと述べているので、日常的にSNSの分析をしていてもおかしくはない(証拠はないが)。前述の本で、かって「世耕議員が世論の常時モニタリング態勢を求めながら党に反対された」とある。その当時世耕議員が提案したこと、その後彼が自民党の実力者になったことを考えると、世論の常時モニタリング態勢を作ったと考えてもおかしくない。

ネットやSNSを利用した世論モニタリングをとおして、政治家は政治言論空間の勢力は変わったと意識のアップデートをしていると考えるほうが良いだろう。

今回の学術会議の騒動で、批評家の東浩紀が、学者が思うほどには国民に信頼されていないとツイートしたが、それは、政治的言論空間をメディアと学者が支配し、有権者に影響を与え、政治家の当落を決定できた時代ではないことを言い表しているのではないか?

東が、「「マスコミとネットが騒げば勝つる」路線を批判したと投稿した。 マスメディアと学者は政治的言論空間を支配し、紙面やテレビ画面を使って民意を代表する時代が長く続いたので、マスコミと学者は騒げば勝てる(紙面やテレビ画面を独占できれば勝てる)と考えていると私はそのツイートから感じた。

つまりマスメディアと学者はまだ政治的言論空間を支配していると感じているのでは?と思った。

しかし、政治家は紙面以外の民意モニタリングシステムを作り上げ、そちらも参照し始めている。

学者やマスメディアがやらなければならないことは、政治的言論空間で有権者に影響を与え、政治家の当落に影響力を与える時代を再度と作ることだ。そのために有権者に支持されることが必要になる(有権者に政治家を落選してもらう必要があるため)。

学問の自由はとても大事だ。学者はとても真摯なので対立している相手も学問の自由に敬意を払っていると考えがちだ。しかしその考えは与党政治家が学問の自由を信奉しているなら有効だが彼らが当落しか気にしていないなら彼らには響かない。

学術会議が今発すべき言葉は「与党政治家よ。お前ら適当なコトしてると、全員落選させるぞ」であり、そのための努力をすべきだ。

参考書籍

内閣調査室秘録 戦後思想を動かした男

プロフェッショナル広報戦略

プロフェッショナル広報戦略

プロフェッショナル広報戦略

メディアと自民党

メディアと自民党 (角川新書)

メディアと自民党 (角川新書)

情報武装する政治

情報武装する政治

情報武装する政治

*1:https://www.amazon.co.jp/dp/B07VD4TPX6/

*2:もし現在内閣調査室が世論操作をするために誰を懐柔しようとするかはとてもおもしろい思考実験だ。

*3:プロフェッショナル広報戦略-毎朝6時30分出社で新聞11紙をチェックより

*4:メディアと自民党(角川新書)第五章 自民党のネット戦略より